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2025年1月に刊行された防災絵本『どうぶつポーズであそボウサイ』は、子どもたちに新しい防災の学び方を提供する一冊です。この絵本は、神戸市出身の絵本作家・金澤麻由子さんと、防災絵本専門士でフリーアナウンサーの古賀涼子さんが共同制作。地震発生時に役立つ防災ポーズを、動物の動きになぞらえ、楽しく実践的に学べる内容になっています。


今回は、金澤麻由子さんにお話を聞いてきました!
「防災」への想いを形に:絵本制作の背景
金澤さんはこれまでに10冊の絵本を手掛け、そのうち4冊が防災に関連したテーマを扱っています。しかし、これまでの防災絵本には、文字が多く、子どもたちにとって「難しい」「堅苦しい」といった課題がありました。これを解決するために、「遊びながら学べる防災絵本」を目指し、本作を制作することに決めたそうです。
「地震発生時に咄嗟に役立つ行動を、身体で覚えられるようにしたい」と語る金澤さん。本作では、命を守る6つの基本動作を動物の動きに例え、シンプルかつ楽しく伝える工夫がされています。
30年目の阪神淡路大震災からの教訓
2025年は阪神淡路大震災から30年の節目。この震災を幼少期に経験した金澤さんは、「家具が凶器になる場面を目の当たりにし、まず家の中で身を守ることが重要だと感じた」と語ります。
当時の経験から、大人が子どもを守るだけでなく、子ども自身が自分で身を守る力を持つことが必要だと実感した金澤さん。本作では、この想いを基に「子どもが簡単に覚えられるポーズ」を考案しました。かわいらしい動物の動きになぞらえることで、親子で楽しく練習できる仕掛けが詰まっています。
防災教育を「遊び」に変える工夫
本作が目指すのは、親子で一緒に楽しく防災を学ぶこと。動物ポーズを取り入れた背景には、「子どもたちが遊び感覚で防災を身につけられるように」という願いが込められています。例えば、「うさぎのポーズ」は身を小さくして頭を守る動作を表現しており、子どもたちが自然と避難行動を覚えられるようになっています。
「どうせ覚えるなら、楽しく実践できる形で」と語る金澤さん。子どもたちが楽しみながら学び、いざという時に役立つ知識を身につける仕組みが本作の魅力です。
教育機関や地域との連携
『どうぶつポーズであそボウサイ』は、教育機関や地域の防災教育にも活用されています。幼稚園や小学校での読み聞かせの実績があり、「防災訓練が怖くなくなった」「楽しい見た目の絵本がきっかけで、子どもが積極的に訓練に参加するようになった」といった声が寄せられています。
また、防災訓練に対する心理的な負担を軽減し、ポジティブな印象を与えるツールとしても高く評価されています。
関連イベント情報
刊行を記念して、以下のイベントや原画展が開催されます。親子で参加し、遊びを通じた新しい防災の形を体験してください。
1. 出版記念原画展@MANIFESTO GALLERY
期間:2025年2月17日(月)~2025年2月25日(火)
場所:〒540-0021 大阪府大阪市中央区大手通1丁目1-10
絵本が目指す未来:親子で学ぶ防災の形
本作の目的は、親子や地域全体で防災意識を高めること。従来の防災教育は「学び」として構えられがちですが、本作は「遊び」を通じて楽しく学べる新しい形を提供しています。
金澤さんは「親子で楽しむことが何より大切」と語ります。動物たちのポーズを通じて、子どもたちが遊びながら学び、家族で防災を考えるきっかけを提供しているのです。
ぜひ、親子で手に取り、防災をもっと身近に感じる体験をしてみてください。